あおと、みどりと

Is the earth crying?

ベニシアさんと、サステナブル

 

興味深い、ベニシアさんの記事がありました。

2017年9月28日のものです。

(一部を簡単にまとめてご紹介)

 

目次:

 

 

夢見た田舎家暮らし

幼い頃、母の実家であるイギリス中北部のダービーシャー州の田園地帯にあるケドルストン・ホールに良く遊びに行っていました。

弟と一緒に敷地内にある湖の島で隠れ家をつくったり、草地を駆けめぐったりして遊びました。それは全て敷地内でのこと。外に出ることは許されませんでした。

ある日わたしはこっそり門を抜け出して敷地の外へ出ました。村へ続く道は静まりかえり、小鳥のさえずりしか聞こえません。高くのびたサンザシの生け垣と緑のツタには、野バラや黒イチゴが実っています。道端にはたくさんの野草が咲いていました。

角を曲がると、白壁の田舎家が見えてきました。各家には小さな切妻窓があり、窓の下にはゼラニウムやパンジーを植えた箱が置かれています。田舎家は、ケドルストン・ホールの私の寝室と同じくらいの大きさで、玄関先に小さな庭があります。壁を伝うツルバラがきれいに咲いています。

ちょうど、二人の女の子が石けりをして遊んでいました。母親らしき女性が、洗濯物を取り入れています。笑い声を上げて遊ぶ彼女たちの姿がとても幸せそうで、知らず知らずのうちに涙が出てきました。私の暮らす世界では、こんな温かく、親密な空気を感じたことがなかったからです。

その家族を眺めながら、決意しました。大きくなったら、どこかに小さな田舎家を見つけて夫と子供と一緒にこんな風に庭に野草や野菜を植えて暮らしたいと。

あれから40年。その理想をここ大原で見つけました。私はこの家を初めて見たとき、「一生、ここで生きていきたい」と強く感じたのです。

 

 

古民家で暮らすことは、伝統を引き継ぐこと

畳を新しくする時、「天然素材のものは、畑で腐らせて堆肥にしたり、燃やして灰を畑にまくことができますが、化学素材が入っているものは業者に頼んで焼却炉で燃やしてもらいます」という畳屋さんの話を聞き、天然素材に決めました。使えなくなって捨てるときのことも考えて選びたいと思っています。

古い家を守っていくのは大変です。表具屋さんも畳屋さんも、使う人が少なくなってきたために、どんどん減っています。我が家にも欄間がありますが、欄間を手がけることができる職人さんは、数えるほどしかいないそうです。

こうした日本の伝統的な暮らしを支える職人さんたちの仕事を守っていくことも重要なのではないかと思います。

イギリスでは家族のヒストリーを守ることを大切にしますが、日本ではイギリスほどのこだわりがないように感じます。素晴らしい伝統文化がたくさんあるのに、それは少しもったいないような気がします。

 

 

オーガニック・ファーミング

古民家に移り住むようになってから、ハーブガーデンをつくり始めました。ガーデニングに使うコンポスト(堆肥)も手作りしています。

ハーブに親しんでいく中で、地球環境のことを考えるようになりました。ハーブ、口にするすべての食べ物、肌につけるものを育ててくれる水や土、空気、地球環境が私たちの体にもたらす影響を考えるようになったのです。その問題に対する意識が高まってきたこともあって、オーガニック・ファーミング(有機栽培)を始めたのです。

ハーブという一つの趣味から、オーガニック・ファーミングやガーデニング、オーガニック製品にも興味が湧き、どんどん人生が豊かになっていく。生活にハーブを取り入れるようになって実感したことです。

ガーデニングには、自然、地球、そして宇宙にまで広がる深い世界があると思っています。

 

 

その土地に合った植物があり、暮らしがある

庭ではさまざまなハーブや植物が育ち、元気を与えてくれます。嫌なことがあっても、庭仕事をしているうちに忘れてしまうことも。

でも最近、少し感じることがあります。それは、それぞれの土地には、それぞれの土地に合った植物があり、暮らしがあるということです。

年齢を重ねてくると、広いハーブガーデンの手入れをすることが難しくなってきます。見えてくるのは、西洋のハーブに比べ、日本のハーブの方が何倍も手入れがしやすいということです。

乾燥した空気の中で育つことが多い西洋のハーブは、日本の湿気には弱く、雨が多くなると元気がなくなります。でも、日本のハーブは雨にも湿気にも強い。日本では日本のハーブの方が効き目も強いような気がします。

ある日、イブキタイムという珍しい名前のタイムを見つけました。調べてみたところ、イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)という日本原産の山野草でした。野生のものを見たくて、夫と息子と3人で伊吹山に出かけました。

この山頂一帯は、「伊吹山頂草原植物群落」という天然記念物に指定されています。450年ほど前に織田信長が、ポルトガルの宣教師に命じてヨーロッパから約3000種の薬草を取り寄せて、ここに薬草園をつくったそうです。

現在は、約280種の薬草が自生していますが、すべて日本の原産種とのこと。ヨーロッパ産の薬草は残っていないそうです。

今は世界中のものが簡単に手に入る時代ですが、本当に必要なものはすぐ近くで見つかるものなのかもれません。

ドクダミ、ゲンノショウコ、ヨモギ…。日本で育つハーブにも、もっと目を向けたいものですね。

 

 

ベニシアさんが考える、サステナブルな社会とは?

サステナブルな社会と聞くと、とても壮大で、自分たちだけではとうてい手が届かないもののように感じるかもしれません。難しいことは考えずに、まずは自分のファミリーの健康と笑顔を守ることから始めるのが、第一歩だと思っています。

例えば、安全なものが食べたいから無農薬や有機栽培の野菜、無添加の食品などを選ぶようにしています。調味料などを入れる容器も、プラスチックではなく人にも地球にをも優しいガラスや陶器などを使い捨てず、繰り返し使っています。

地球環境という大きな問題を前にしたら、こうした行動は針の穴ほどの影響力もないかもしれません。でも、家族の健康や安全を考えて行動を起こす人が増えれば、大きな力を生むかもしれないのです。

 

(参考:大和ハウス工業株式会社のHP)