生物濃縮とは?
どのように哺乳類の体内に高濃度のPOPs(残留性有機汚染物質)が蓄積されていくのでしょうか?
「生物濃縮」は生体内蓄積とも言われます。
- 生物濃縮… ある種の化学物質が食物連鎖を経て生物体内に濃縮されていく現象。
生き物の間には「食べる」「食べられる」といった関係があり、この生態系の仕組みを食物連鎖と言いますね。
植物プランクトン
↓
動物プランクトン
↓
アミ類
↓
魚類
↓
鳥類
↓
哺乳類
↓
ヒト
POPs(例えば農薬のDDT・ポリ塩化ビフェニール(PCB)など)が海洋にたどり着き、プランクトンに取り込まれると、食物連鎖の上位にいる生物に食べられ、高濃度に濃縮されて影響を及ぼします。
蓄積性のある物質は、始めはわずかな量であっても食物連鎖により生物濃縮起こし、生物に被害を与えます。
1962年に出版された本、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、この生物濃縮により、有害化学物質(特に農薬)の危険性に警鐘を鳴らした初めての書物です。
チッソ水俣病は有害化学物質が食物連鎖により生物濃縮し、その生物濃縮したものを食べたによって引き起こされた、人類史上初の病気といわれます。
1969年「苦海浄土」(石牟礼道子著)では、チッソ水俣工場から排出された「メチル水銀」が海洋を汚染し、それを取り込んだ魚介類を長い間食べたことにより発生したとして告発しました。
- メチル水銀… アセトアルデヒド(窒素肥料の原料や農薬の原料にもなる)の生成過程で発生したもの
2013年、約140ヶ国が参加した「水銀に関する水俣条約外交会議」が開かれ、水俣条約が採択*されました。
*採択(さいたく)…ある意見・案など良いものとして選び取ること。
- 水俣条約… 水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約