「オーガニック(有機)」野菜は、どのように作られているのでしょうか?
「残留農薬」は栽培中に作物に撒(ま)く農薬だけでなく、土の中に残っていたり、風や水にのって汚染したり、管理する場所にも汚染の危険性があります。(長靴に農薬が付いていたなど…)
「有機JAS」に基づいて生産・製造されたものが安心・安全なのは、全ての行程で汚染されないよう管理されているからです。
有機JASのポイント⑧
目次:
有機JASマーク
①「環境保全型」生産を行う
有機JASでは、合成された農薬や化学肥料・土壌改良材の使用を制限し、農業生産に伴う環境負荷を軽減することを大切にしています。
本来持っている「土」の力、土地にあった作物をできるだけ自然の力で作ろうということです。
②有機JAS認証された「ほ場」で栽培する
農作物を栽培するための場所のことを「ほ場」といいます。
「ほ場」が有機JASの認証を受けるには、種まきや苗などの植え付け前に2年以上(多年生植物の場合は3年以上)、禁止された農薬や化学肥料を使わない転換期間が必要です。
③「ほ場」は周辺から汚染されないようになっていること
有機の「ほ場」に、農薬や化学肥料・土壌改良材を使用した用水が流入したり、周辺から風で飛んできたりしないように対策が必要です。
日本の農地は狭くこの点が大変ですが、隣接地との間に十分な広さの道をつくったり、風向きを重要視するなど工夫します。
広さや対策の基準は地域により違うため、登録認証機関の判断になります。
*登録認証機関…実際に有機JASの規格について教えたり認証を行う。第三者機関。
④基本的に、化学的に合成された農薬や化学肥料、土壌改良材を使用しない
基本的に農薬、肥料、土壌改良材を使用してはいけません。ですが天候不順や渇水などでやむを得ない場合に限り、定めれた資材や薬剤を使用してもいいことになっています。
この場合でも一部化学処理されたものも含まれますが、原則「天然物由来」のものです。
⑤飼料の条件
有機栽培で使用できる肥料の条件は、有機の「ほ場」で生産された作物の残さ(もみ殻など)を使った、たい肥です。
また、有機の「ほ場」や周辺に生育するミミズ、昆虫、微生物によって、有機物の分解や生物の物質的循環による土づくりを行います。
これらの努力だけでは十分な栄養がいかず、正常な生育が望めそうもないときに限り、許可された肥料・土壌改良材を使ってもよいことになっています。
*残さ…残りかす
⑥病害虫防除と除草
有機JASは、農薬を使わない病害虫防除と除草を基本としています。
1.耕種的防除
- 抵抗性の強い品種を使う
- 栽培時期を工夫するなど
2.物理的防除
- 防虫ネットを利用する
- 反射光の利用
- 電柵などを利用
- 土壌の太陽熱利用による消毒
- 手取り除草、草刈機の利用など
3.生物的防除
- 土壌微生物のバランス保持活性化
- 地場に生息する天敵(ナナホシテントウムシ、ジバチなど)
- アイガモ農法
- 野鳥やカエルやハチ類などの捕食性・寄生性天敵の利用
- 虫よけ効果のある忌避(きひ)植物の導入(カモミール、ミント、ラベンダー、ローズマリーなど)
これらの方法でも効果が出なかったり、天候不順等でやむを得ない場合は、定められた資材を使用してもいいことになっています。
⑦全ての行程を文書で管理
有機JASは、栽培⇒収穫⇒仕分け⇒保管⇒包装⇒輸送など、全ての行程で作物を汚染しないよう管理され、その作業は全て文書で記録されます。
⑧遺伝子組換え技術を使用しない
種苗に限らず、肥料においても遺伝子組換え技術、ゲノム編集の利用は禁止されています。
種や苗も、原則有機JASで栽培されたものを使用することになっていますが、有機の種苗が高価すぎたり、欲しい作物のものが手に入らない場合は通常栽培でもよいことになっています。だだし、化学合成された農薬や肥料を使用せずに育苗されたものに限ります。