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「瑞穂の国」ベニシア・エッセイ
(一部省略)
瑞穂(みずほ)の国では お米が 生活の中心です
わたしも カマで稲狩りのお手伝いをしながら
遠い昔のことを思い出していました
1972年の夏 わたしは四国の小さな村にたどり着きました
有機農法の大家である福岡正信先生から米について学んだのです
わたしたちは毎日 福岡先生と田んぼで作業しました
先生は「自然は植物が育つのに必要な知識も資源もすべて備えている」と教えてくれました
今こうして多くの若者が農業に従事し
子どもたちと一緒に昔ながらのやり方で稲を刈り
干している様子を見たら 先生は喜んだことでしょう
「太陽のお米だ」と小さな子が言いました
カマをおろして大地に「ありがとう」とお礼の言葉をささやきました
鞍馬炭(くらますみ)
この日の放送で、ベニシアさんは84歳の炭焼き職人を訪ねています。
「ずっと炭焼きで、もうこの辺昔はね、もうずっと炭焼きが本業でしたよ」
平安の昔から続く炭焼きの里、百井。
ここで作るのは、京の三大炭とたたえられた鞍馬炭(くらますみ)。
父親から炭焼きを教わったのは16歳の時。当時、70キロの炭を抱えて歩いて鞍馬まで運んだのだそう。
炭を焼き続けること
1人で山に入り木を切っている小嶋さん。
炭になるのは、ヨウブやナラなどの雑木で、根元を残して再び成長するのを待ちます。一度切った木は15年後まで切りません。
炭焼き小屋へ
切り出した木は十分乾燥させ、窯へ。炎との呼吸の合わせ方がとても大切。
火が完全に回ると、木は自ら発熱し「炭化」という現象が起こり、煙と共に水素や酸素が出て炭素だけが残ります。
最も難しいのは「炭化」の始まるタイミングを極めること。炭は「炭素」の純度が高いほど、煙や炎が立ちません。
「これが収まってきたら匂いで分かるわけですわ。匂いと煙の色とね。煙が青なって、だんだん少のうなってくるわけ。やっぱり経験と勘やね、匂いするもんは。」
「炭化」が始まったら窯を少しずつ閉じて、酸素をギリギリまで減らし、木を燃やさずに熱を保ち続けます。受け継いできた伝統の方法。
火をつけた翌日、炭焼き小屋にベニシアさんを招いた。
窯の中で木はまだ炭化を続けている
ベニシアさん「原始的なものを感じるね」
小嶋さん「我々もその自然の中にこう生かされているのやからね。ただ地球だけじゃない、宇宙の中に。そういうのは皆、関連していると思いますわ。これは、もう。とても」
火をつけてから6日目。
炭化を終え、十分に冷ましてから窯を開けた。
風が強かった晩、窯に酸素が入り過ぎた。
炭は会心の出来ではなかったが、納得がいくものもあった。
小嶋さんが手塩にかけた炭。今は人に売ることはない。
本当に喜んでくれる人がいればそれでいい。
*現在は「鞍馬炭・広河原薪炭再生集団」という方々が製品化しているようです
*ハーブは乾燥した土壌を喜ぶので、ベニシアさんは砕いた炭を地中海原産のハーブの周りにまいていました。炭には湿気を吸収して土を乾燥した状態に保つ効果があるそうです。
炭焼き職人なんて素敵ですね。
久しぶりにキャンプに行って焚火がしたくなりました。